虹色ロリポップキャンディー

アニメだったり、特撮だったりの感想等

HUGっとプリキュア 感想まとめっぽいこと

 HUGプリの感想をまとめると、だいたいなんとなく分かるけど、よくよく考えるとよくわからないプリキュアです。テーマと心中したようで、していないような。このキャラを通して、何を伝えたかったのか。この作品の諸々突き詰めるとよくわからないです。これを書いていても、これはこうだみたいな確証はあんまりありませんでした。HUGプリとは?と、聞かれても、私には明確に答えれるものがないです。

いじめやアイドル、ジェンダーといった、物語冒頭にはなく、視聴者が必要としていなかった要素を提示してきた割には、消化不良で終わる。勝手に風呂敷広げて、グシャグシャに畳んで終わりみたいな印象です。その要因の一つが、えみるとルールーがいつのまにかアイドルになっていたこと。これがあってからは、物語の外で物語が進む前提で見なくてはいけなくなったので、もう正直追いつけないです。もしかしたら、描写されていないところでキャラは生きているのかもしれないけど、それはあくまでも脚本家の想像でしかないわけで、視聴者にはわからないです。

それらの原因は、私には正直全部脚本家のエゴだと思っています。これも扱いたい、あの人使いたい、このキャラほしい、あの話書きたいみたいな。それが全部若宮アンリというキャラに収束すると思っています。このキャラを動かす尺が必要で、それ以外のところを削らないと。それに付随する諸々の結末がこれかなと。あくまで私の想像ですけど。

いずれにせよ、製作者と求めるところや面白さ等々の感性が違うと分かれば、その作品の視聴者ではないのだと改めて思いました。

HUGっとプリキュア メディア戦略について

今作は、メディアを非常に利用しているといった印象を受けました。その中で、キュアアンフィニが登場した回では、それが悪手となったように見えました。放送中に記事になるのは、結果ありきなのではと邪推しています。記事の内容も男性がプリキュアになったという点が、クローズアップされています。これは、内容がよければ、好転する要素なので戦略としては悪くないと思います。

ただ、この戦略が批判の対象となるような要素を含んでいることを把握しているのかというのは、疑問に思います。SNSでバズるということが、一つの指標となる時代です。あるメディアで記事になるそのことがSNSでバズり、それが記事になるというようなことがないとも言えない。だからこそ、このような点が悪く見えないように、内容の面で問題ないようにしてほしかったというのが、本音です。

あとは、坪田さんのtwitter。週ごとにツイート全消しは、いろいろ勘ぐられるよなと。

HUGっとプリキュア スタッフについて

これは、菱田正和さんの起用についてです。彼は、プリティーリズムシリーズの監督、すなわち、坪田さんが参加した作品の監督です。そのアニメは、フィギュアスケートをモチーフにしていました。したがって、彼がスケートを扱う回でコンテを切るということは特に疑問はありませんでした。ファン目線で言えば、彼のプリキュアが見れて嬉しかったです。

しかし、ここに問題点の一つが見えたように思えます。スケート回では、彼のコンテ以外切らせないという意図が見えるかのように、スケート回が無いのです。彼がコンテを切ったのは、8話と42話です。いずれもスケートをしています。しかし、もうこれでスケートをしないのかと思いきや、43話でほまれがスケートを滑ります。じゃあ、今までのは何だったのか。制約があったのか。誰かの意向だったのか。もしくは、43話もコンテを切る予定だったが頓挫したのか。正直、よくわかりません。いずれにせよ、挫折を経たトップスケート選手という唯一無二の属性をもったほまれは、ハリーに恋する女の子というほまれである必要性がない属性を付与されたキャラクターになってしまいました。残念です。

HUGっとプリキュア テーマについて

HUGプリのテーマとは、なにか。前情報だと、育児や職業体験だったような気がします。始まると主役級のキャラにもテーマがあるとわかります。当たり前ですね。そのキャラクターを通して、伝えたいメッセージがあるのですから。

 まず、はなは、エールの名のごとく、応援。応援といっても、他人に頑張りを強要したり、拒否されたらどうするのか。意外と難しい問題です。さあやは、2世女優としての自分のあり方。ほまれは、スポーツ選手の挫折と復帰。このあたりがテーマかと思っていましたが、案外早く解決します。ほまれに関しては、プリキュアになった時点で解決です。さあやだけが一年間このテーマを抱えます。その後、はなには、いじめにあった過去があっったことがわかります。ほまれは、異生物との恋愛。追加戦士のえみるとルールーは、家族がテーマです。ルールーは、トラウムが改心してから特に明確になります。ただ、えみるはプリキュアになった時点でほぼほぼ解決です。

 敵のテーマは、社会復帰です。倒された幹部も、改心し、新たなことを始めます。最終的には、プリキュアにも協力してくれます。

 更に、アンリというキャラのジェンダーという問題も絡んできます。

 社会派プリキュアと言われるだけあって、重いテーマが多くあります。どこまでがテーマかと言われると微妙な問題ですが。これらを、どのようにプリキュアと絡めるかがその作品のみどころだと思っています。

HUGプリのこれらの問題が、プリキュアにならないと解決できないかというとそうでもないです。どちらかというと、解決したのちにプリキュアになって戦うという形式だったように見えました。これを解消するのが、オシマイダーという敵のシステムだったと思うのですが。オシマイダーを通して、その回の問題を解消する。特に顕著なのが、35話です。出産に関する回で、姉になることで母親の愛情を受けられなくなるのではないかという子供がいるのに、オシマイダーになるのは車を擦ったサラリーマン。あまりにも脈絡がないなと思いました。問題の解決した安息の地を守るために戦うだけのなら、プリキュアじゃなくて警察でもいいんじゃないかと。

更に、今思うとメロディーソードの件での剣の否定は、プリキュアの根幹の否定にも見えますね。拳で解決するのが全てではないですけど、拳のぶつかり合いの先に解決があるというのがプリキュアだったんじゃないかなと。15年もやれば、制作側がこのあたりに疑問をもっても不思議ではないですけど。

ここまで、テーマに関して述べてきましたけど、一番問題なのが、この作品の主題ともいえる育児が全くなされないことだったと思います。HUGという単語からも母性が重要なタームだと思っていましたが、どうもそうではなかったようです。育児はハリーに任せ、一緒にきゃわたんと言っているだけ、はぐたんも言葉を話すようになった程度の成長。これは実際の成長速度と同様なのかもしれないですが。はぐたんのお世話について、母親に聞いた回あったかな。忘れているだけなのだろうか。それに比べると職業体験は、まだ一年を通してやっていました。だからといって、そこで得られたことが何かの糧になっていたかと言われると疑問です。目標がよくわからないはなに、その経験が生かされるわけでもない。スケート選手やアイドルと明確な目標があるほまれとえみる・ルールーはそもそも、それに関する職業体験しているのかとも思います。さあやでは、生かされていましたが。思い出せるのがさあやだけっていうのもどうなんでしょう。

結論としては、HUGプリは、一年間やりたいテーマが結局、私には理解できませんでした。個人のテーマは、なんとなくわかるんですが、包括するようなテーマは結局、見いだせませんでした。制作陣のやりたいことが、わからなかったです。しいて言うなら、「なりたい自分になる」だと想像はできます。でも、これって育児と正反対のテーマだと思います。育児って他人への無償の愛を前提にしていると考えています。言葉も伝えられない赤ちゃん、HUGプリだと最早赤の他人です。他人への自己犠牲、自分の時間を分け与えることだと思っています。しかし、自己実現とは努力なしにはできないと思います。つまり、自分の時間を自分のためだけに費やす。有限な時間を自己と他人どっちに割り振るのか。現実には、どちらもできる人がいるでしょう。できない人のために社会保障があるのでしょう。少なくとも、このアニメだとハリーに預けて、職業体験をしているように見えました。最低でも、はなが育児に興味があるのかと言えば、そうでもないような。相反するこのテーマを扱うには、あまりにも描写が稚拙だったと思います。育児をテーマに掲げていなければ、さして気にも留めないのですが。

HUGっとプリキュア ストーリーについて

メインストーリーは、クライアス社はハリーとはぐたんを追いかけて、現代に来たはず。そこで、たまたまプリキュアになったはなとクライが出会ったような。偶然だったはずなのに、気がついたらクライの目的が未来の嫁となるはなを絶望の未来から救うことになっている。このあたりは、最終回見ると、母親の元に逃げてきたとも解釈できるが、なぜ中2のときである必要性はわからない。終盤で脅威となるはぐたんを標的としたわりに、とくに目標としないクライアス社。ただ、クライアス社の倒し方も明示されていないから、無尽蔵に湧いてくる敵を後手後手で対処するプリキュア。未来のプリキュアは負けたのだが、その反省が生かされているのかもよくわからないし、さらにいうと未来のプリキュアがなんなのかもわからない。

 各個人の話も、テーマに書いたことですが、私の中で想定していたストーリーがプリキュアになった時点で大体解決してます。さあやぐらいでしょう。想定していたまま進んだのは。それ以外の人物は、エピローグのようなイメージですね。

 敵に関して言えば、改心してから時間を描くため、退場しない。つまり、退場したキャラの補填をするのではなく、ただ登場人物が増える。幹部を直接倒せば、改心できるかとおもいきや、リストルやビシンは最終決戦まで敵側にいる。敵がいま、どっち側なのかを単純化して見れないのは、敵が増えるこの作品ではまずかったと思います。

 システム的な話になると、オシマイダーの必要性が長期的なスパンで見ると、特にない。トゲパワワやアスパワワが増えたり減ったりしても特に影響がない。クライが頑張れば、一人で時も止められますし。ネガトーンやデザトリアンのように倒せば、味方に恩恵があるのかと言えば、そうでもない。その回に密接した人物から生み出されるかと思いきや、全く関係のない人物から生み出されます。更には、特に描写なくいつの間にかいたこともあったような。最終回だと、偶発的にとは言え、クライアス社なしで出ますし。

 まとめると、縦軸の話が、プリキュアの増加・武器の追加、あるいは敵幹部の脱退・増員以外で進んでいるイメージが特に無い。クライアス社と争点となるものがないので、争っているようで争ってない。個々の話も、一年間やり通す話もあるが、基本的に1話あれば大体解決する。伏線の割に解決があっさりしているので、カタルシスが特に無い。終盤になれば、その話の中で問題が提起される。でも、いつの間にか話が解決しているそんなイメージです。今ひとつ、キャラクターの成長を感じられないのです。

HUGっとプリキュア 男性プリキュア登場について

これに関しては、坪田さんがやりたかったんじゃないかと個人的には考えています。

アンリがプリキュアになる過程を言っていくと、彼に乗り越えるべき問題が提示されます。それは、二次性徴に伴う身体の成長と怪我です。トップスケーターとしてのアンリのままでいたいという気持ちに反し、今までどおりの演技が出来なっていく身体、さらには声変わり。理想と現実の間で、彼は苦しみます。そして、彼はある大会を最後の花道にする決意を固めるが、その道中で事故に遭い、それすら叶わなくなる。

これだけみれば、まあ筋は通っているんですが、わざわざ事故に遭わせる必要性があるのか。事故に遭わなくても、結果が出ないあたりでいいと思うんです。それじゃアンリは絶望しないから、事故に遭わせたとも考えられます。でも、誰だって事故にあえば、絶望すると思います。外的要因に左右されてほしくなかったです。他人に口出ししてきた彼が葛藤する様を見たかったのに。

まあ、なんやかんやでプリキュアに彼はなります。えみるとルールーであれほど気にしてたプリハートは必要ありませんでした。しかも、特に戦いません。決着も、5人に任せます。正直、これってプリキュアなのかと思いました。プリキュアの名を冠したキャラクターにしか見えませんでした。わざわざある種のタブーを破ってまでしたかったことの結果がこれなのかと。非常に残念でした。

前作でピカリオを頑なにプリキュアにさせなかったので、もう男性プリキュアは出さない、出してもギャグで済ますと思っていました。出すとしても、ピカリオは超えてくる描写が必要になるはずなんです。実際には、そんなものは必要ありませんでした。

一話限りの話かと思いきや、48話で全員プリキュアなんてするからもうよくわかりません。47話でアンリの時が止まっている時点で、この作中でのプリキュアとは何かわからなくなりましたけど、ここまでされたらこれがプリキュアなんだなと理解せざるを得ません。プリキュア観の相違ですね。

ただ、公式がこのキュアアンフィニをどう扱うのかは、これから気になるところです。オールスター映画に出したりするのか等々。出したって戦えないんですけど。

HUGっとプリキュア クライについて

ラスボスにして、はなの未来の旦那らしき人物。はぐたんを追ってきた割に、はなに執着する人物。未来のはなはいないからか、女子社員を食いまくる人物。48話の描写をみるに、どう低く見積もっても現在のクライは24、25でしょう。はなとは少なくとも一回りは離れています。彼がクライ本人でないことを祈ります。無計画・不貞・ロリコン?この中で、不貞はきついです。なぜなら、キャラ造形と意識していない倫理観の崩壊だからです。こういうのを見てしまうと製作者の倫理観を疑ってしまいます。あそらく、ストーリーの展開の結果だと願います。全く、悪びれることなく不貞を犯しているんですから。はなを目の前にしてもそのことを後悔しているとも思えません。あれで不貞を犯していないなら、もはや何の描写なのかと聞きたくなります。

 いずれにせよ、いまひとつ、社長としての器やカリスマを感じられません。それは、彼が未来を止めたがる理由を明言していないからだとも思います。はなにうちあけなくても視聴者には提示しないと、現状ただの駄々っ子です。おそらく、未来の妻であるはなを潰されたからなんでしょうけど。それも推測の域を出ないです。ラスボスとしての力は、あります。でも、彼のどこに惹かれてあるはどのような能力をもってクライアス社を率いているのか。プリキュアが、かれの思想のどの部分を打ち砕いていくのか。結局、あやふやなまま負けました。